心に移りゆくよしなし事を

腐女子による拡張版ほぼ日手帳くらいの気持ち

蒼天秘話英語版を読んで

蒼天秘話(銀剣のオルシュファン)の日本語版とニュアンス変わるね!?て思ったところを雰囲気意訳と感想文です。

全力でFF14蒼天のイシュガルドネタバレ。

中学生レベルの英語力で過大解釈してるのであんまり信じないでください。

 

 

 

You just couldn't help yourself, could you?
君はちっとも君自身を守ってくれないね

日本語版では「まったく、君はいつもそうだ……」となっている台詞。

私はこの台詞が深々と突き刺さってるわけですが、それは彼がフランセルを守ったシーンと、ヒカセンを守ったシーンとがまったく同じ「危ない!」という台詞だったからです。

あの頃からまったく変わらないオルシュファンという人物を表していて、親友を守ったようにヒカセンを守った彼が尊くて愛しくて切ない……という語りは割愛して。

英語版だともっとフランセルの悲しみや寂寥感が露わに感じられるなぁ、と思いました。

 

Haurchefant arched an eyebrow, then grinned. "I would like that very much."
オルシュファンは、眉を弓なりに上げて笑った。「それはイイな!」

日本語版だと「いったいなんなのだと言わんばかりに片眉を上げた」で、オルシュファンの台詞はありません。

この日本語版の雰囲気がすごい好きなんですが、英語版だと歓迎モードなのが面白いな。

 

The more he grew to resemble his father.
オルシュファンはますます父親に似てきた。

はい無理ーーー無理です無理無理ポイント。

単純にゲーム中のご先祖様の顔立ちや兄と弟の顔の造作を見るに、兄は父似弟は母似だけど、下手をするとオルシュファンが一番若い頃のフォルタン伯に似ているのでは?

だとしたら成長するに連れて夫に似てくる庶子とか本妻にとって地獄では?

と思ってたことの裏付けになってしまった。

日本語版にはない表現ですが、さらに下に続くわけです。

 

Francel came to recognize the signs he would be along shortly─muffled shouts from the manor, a door slamming shut, the patter of running feet across the cobbles.

And there he was, huffing and puffing, eyes red and full of anger.

ランセルは間もなくオルシュファンがやってくるタイミングがわかるようになった。邸宅から聞こえてくるくぐもった叫び声、ドアを閉める音、石畳を横切るパタパタとした足音。そうして現れた彼はハァハァと息を切らし、目を赤くして怒りに満ちていた。

日本語版だとおそらく「義母の監視下で、息苦しい生活を送っていた」あたりだと思うのですが、怒ってるあたり印象が大分違います。

オルシュファンの人柄や彼が父に似てきたこと、そして少なくともオルシュファンは義母に怒りをぶつけられるような関係を築けていたとは考えにくいな、と思ったので、これはほぼ私の妄想なのですが。

夫に似てきた不義の息子を義母は金切り声を上げて罵ったのかもしれない(それが聞こえてきた声)。

息子はその言葉を受けて怒りと悲しみに飛び出す。涙を堪えて目を赤くして。

そんな感じだったりするのかもしれない。

 

そこから下記のように続くわけです。

 

I'd touch his shoulder, and he'd remember where he was. "Where shall we go today?" I'd ask. "Anywhere but here," he'd say.

ランセルがそっと肩に触れると、ようやくオルシュファンは自分がどこにいるのか気がついた。

「今日はどこへ行こうか」

オルシュファンは、請うように答えた。

「どこでもいい。ここじゃないどこかなら」

 

どうしてここのシーン日本語版にないんです???

これ、フランセル少年10歳にもなってないかもしれないんですけど????

さすが小憎たらしいほど気の利く青年に育つ少年……。

 

ここからは飛んでフランセルが誘拐犯から救われるシーンが結構印象違っててまたうなりました。

 

Haurchefant groped blindly for the knife, found it, then drove it home between the larger man's ribs. Again and again, long after he had stopped moving.
He lay there for a time, face buried in the dead man's chest. The cabin was silent save for his labored breaths. Less a man and more a beast, his tunic dyed red, his hands trembling.

オルシュファンは手探りでナイフを探し出し、大男の肋骨の間に差し込み壁に押し付けた。何度も、何度も。男が動きを止めてからも。ナイフはしばし男の胸のに埋もれて沈黙した。室内は、彼の荒い息を除いて、静まり返っていた。人間というより獣のようだ。オルシュファンの衣服は返り血に染まり、その手は震えていた。

ここ、日本語版では颯爽とオルシュファンが助けに来てくれて、勇敢で頼もしくかっこいい!て感じなんですけど、まだ17歳のオルシュファン少年は、初めて人を殺したのかもしれない、という描写で震えます。

親友を救うために、必死で、無我夢中で、小さなナイフ1つで戦ったんだなぁって感じ。

まだ稚拙な感じとか、怖かったのかなって感じさせるところがすごくたまらないです。

 

Slowly, he pushed himself up and looked into Francel's eyes. "It's over. They're dead," he whispered, leaning forward and pulling the wadded cloth from the boy's mouth.

ゆっくりとオルシュファンは身を起こし、そして、フランセルの目を覗き込んだ。

「終わった。……みんな、死んでる」

彼はそう囁くと、身を屈めてフランセルの猿ぐつわを外した。

ここで囁くのすごく……すごく……。

手も震えるほどだったのに、フランセルを安心させるように目を覗き込んで、吐息混じりに終わったって言うのたまんない。

殊更ゆっくり淡々とした口調にしたのは私の趣味です。

 

 

不慣れな英語で曲解してるところもありそうだけど、たまらなかった……。

また二人の解像度が上がった……とても楽しかったです。

ここおかしいよ!とかこういう解釈もあるよ!とかあったら教えて貰えるとうれしいです!

 

追記:「その旅の始まり」も素晴らしいと教えて頂いたのでまたゆっくり読みます。